宙組「オーシャンズ11」東京新人公演感想 

こんばんは、あさがおです。

 

東京宝塚劇場で行なわれた、宙組「オーシャンズ11」の新人公演に行ってきました。

 

新人公演、宝塚ファンの中でもご存知ない方もいらっしゃるかもしれないので念のためご説明しますが、宝塚大劇場、東京宝塚劇場で上演中の作品を、入団1年目から7年目のいわゆる「新人」のみで上演するというものです。(余談ですが、入団後のタカラジェンヌは「研究科◯年生」と計算され、「研1」、「研2」などと呼ばれるので、新人公演は「研1〜研7で構成される云々」などと表現されます。)

 

簡単にいうと、普段トップスターさん以下、上級生がされている役を、1年生から7年生までのひよこちゃんたちがやるのです。

新人公演の主演は、トップスターへの登竜門と言われています。

 

今回のオーシャンズ11は、主人公ダニーを研5の鷹翔千空くんが務めました。

新公主演はたしか2回目。宙組の若きスターです。

 

まずは、全体的な感想から。

新人公演を観劇したのは初めてだったのですが、思っていたよりもレベルが高かった。

歌が下手な子がいない。そりゃ、まだ不安定だなという子はいましたが、聴いてられないという子はいなかったです。

また、お芝居も極端に下手という子がいなかった。

今まで、新人公演は、基本お遊戯会だと思った方がいいのかしら(ファンの方々の「本公演超えてる!」などというレポートは読んでいたものの)という偏見を持っていましたが、さすがお金を取るだけあって、それなりのものを完成させてくるんだなと感心しました。

たしかに、本公演と違ってドタバタ感は否めないけれど、それでも、それぞれが本公演の役もやりながら、限られた時間でお稽古を重ねて作り上げたものとしては、期待以上の完成度だと思いました。

 

そして、やはり本公演の皆さんの実力は素晴らしいのだなと再認識しました。

当たり前ですけど、お芝居って、セリフを覚えて役になりきるというだけじゃないんですね。

今回で言えば、ダニーは、冒頭舞台上で囚人服からスーツに早替りしないといけないし、クライマックスでは喋りながらか歌いながらか忘れたけどネックレスを外さないといけないし。ラスティーは歌いながらタバコに火をつけ、歌いながらタバコを吸って煙を吐かないといけないし。他のキャストもトランプを配ったり、ヨーヨーをしたり、スリをしたり・・・付随する動きが多かった。

本公演では、みなさんその役の人物の動作として自然にされているので、見ているこちらも特別注目することもありませんでしたが、やはり新公メンバーは一つ一つの動作にもたつきが見られたり、明らかにもたついてるわけじゃないけどスマートではないせいか、特別な動きをしていると目につくことが多かったです。

あと、そのせいか、セリフの掛け合いの場面では微妙に間が空くなと感じることもしばしばでした。

歌ったり踊ったりするのは、難なくされてるように見えたんですが。流石に体に染み付いているんですかね。

まあ、拙いところはあるものの、先ほど言ったように、完成度は全体的に高くて、すごいなあと思いました。

 

 

ここからは、個別の感想を。

ダニー役のこってぃ(鷹翔千空)。

何はともあれ、めちゃくちゃカッコ良かったです!

下級生なのに、あの包容力。

もともと持っている雰囲気が優しいのと、声が落ち着いて温かみがあるので、「めちゃくちゃモテそう」なダニーでした。

人タラシって感じでしたね。

あれはたしかに凄腕の詐欺師ですよ・・・。

テスに対する視線も優しくて甘くて、きゅんとしました💖

あと、歌も十分聴かせられる完成度でした。

 

ラスティー役のキヨちゃん(優希しおん)。

彼女も観ていて無理がないというか、このお役は他の11メンバーに比べると特色がないというか、小道具の力を借りることができず、色気、洒落っ気で色付けしなければならない(しかも主役ではない)ので難しかったと思うのですが、研6でここまで自然な役作りができるのだなと感心しました。

もしかしたら、私の設定したハードル、低いでしょうか?(^_^;)

キヨちゃんは身長がそれほど高くないので、本公演のキキちゃん(芹香斗亜)のような男性的フォルムはないですし、多分元々の性格が大人しいのでしょう、雰囲気が優等生すぎた感は否めませんが、それでも、彼女には「何か良いものがあるな」と思いました。

歌は少し声が弱い気がしました。

喉が弱いのでしょうか。本公演のバージル・モロイの歌でも感じていましたが、まだ声のコントロールがうまくできないせいか、語尾が弱くなる傾向にありました。

でも男役で研6ですからね。発声の仕方によっては早めに出来上がる方もいますが、少し時間がかかる方もいます。これはもう声帯とか声質によるものなので、どちらがいいというわけではないと思います。

キヨちゃんも、発声練習や腹筋などでもっと強い声を出せるようになれば、声自体は綺麗ですし、先ほども書きましたが何となく雰囲気のある男役なので、素敵に歌えるようになると思います。

 

 

ベネディクト役のキョロちゃん(亜音有星)。

頑張ってましたね!びっくりしました。

彼女もおとなしくて品行方正?なタイプだと思っていたのですが、思った以上に弾けれらるんだなと思いました。

当然のことながら、まだまだ経験不足なので、一本調子ではありましたが、ベネディクトは難しい役だと思うので、あれだけの勢いと圧力を出せただけで十分だと思います。

容姿端麗なので、今後、正統派の役はたくさん巡ってくると思いますが、ベネディクトのようなアクの強い役をできたことは貴重な経験でしたね。

きっと今回の経験を糧に、大きく成長されることと思います(母目線)。

 

 

 

ソール役の若翔りつ君と、ルーベン役の希峰かなた君は、本役さんを完コピだなと思うほど、声も、間も、本公演のままでした。

寿つかささんと凛城きらさんのようなベテラン男役さんが本役の時は、コピーするということも物凄く勉強になると思うし、自分なりの役作りをするよりもコピーする方が難しいでしょうね。

お二人が話しているときは、本公演を見ていると錯覚してしまいました。

 

 

ライナス役のナニーロ(風色日向)。

普通にかっこよかったですね。

でもどこか自信なさげで、猫背気味で、母性本能くすぐられる可愛さがありました。

容姿がキキちゃんのライナスに似ていたので、少し驚きました。

 

イエン役のあられ(愛海ひかる)、リヴィングストン役のなつ颯都、ターク兄弟役の碧咲伊織、真白悠希は、「群盗」に出演していたので思い入れがあるせいか、「みんな、よく頑張ってる!」と感動しました😅

イエン役はヨーヨーの扱いが本当に難しかったと思います。雑技団はイエン一人しかいない感じでしたしねw。

あられちゃんもかなり苦戦しているかなという気はしましたが、もう、それは仕方ない!本公演のあきも(秋音光)のヨーヨーの腕は素晴らしく、プロの域(プロがいるのか知りませんが)ですが、本公演で別の役をやりながら新人公演のお稽古をしていることも考えると、よくやったなと思います。

なつ君のリヴィングストンはテンション高い引きこもり感が出ていて、背も高いし顔も可愛くて(?)とても良かったですね☺️登場シーンでテンション最高潮なお役なので、難しそうだなと思っていましたが、全く心配ご無用という感じでした。そして背が高かったww。

ターク兄弟は、群盗でも異母兄弟だったお二人。来世で本当の兄弟になれて良かったね・・・。ツイン感が出ていたのも良かったです。

 

フランク役の真名瀬みら君とバシャー役の湖風珀くん。

本役の澄輝さやとさんと蒼羽りく君はこの公演で退団です。

2人とも、必死で本役さんから学ぼうとしたんだろうなと思いました。

真名瀬くんは、大人しいイメージがあり、そのイメージはそのままでしたが、どこか大人っぽさも身につけていたというか哀愁を感じました。

湖風くんは、これまであまり知らなかった(絵がお上手な方かな?)のですが、どことなく胡散臭い雰囲気が出ていて良かったのではないかなと思いました。

フランクとバシャーも、トランプやらマジックやら小道具の扱いが難しいお役だったと思いますが、スマートにこなしていて凄いなと思いました。

 

 

テス役の夢白あやさんは、容姿はテスにぴったりでしたね。

彼女は美人なので、出てくると「美人だな」と思うのですが、まだ決まったセリフを言っている感が強いというか、セリフの言い方が表面的で一本調子なところが気になりました。ただ、まだ研3なので、これからお芝居を深めていくのだろうなと思います。

彼女は早くから抜擢されていますが、外見的に相手役を選ぶのか、娘役芸が身についていないせいか(これは当然ですが)、「可愛い」とはなかなか思えないんですよね。

もともと持っている雰囲気や本人の性格、容姿などのせいでもあるでしょうけれど、組んでいる男役をかっこ良く見せ、自身も可愛く見せるという娘役芸は、やはり相当難しいのでしょうね。

夢白さんは、まだ自分のことでいっぱいいっぱいな感がありますし、可愛らしく振る舞うのは似合わなさそうなので、劇団も無理にヒロイン役ばかりやらせずに、大人の役を振ってみたら、案外ハマるかもしれません。

 

 

 

ダイアナ役の天彩峰里ちゃん。

配役を聞いたときは、あの可愛い峰里ちゃんがダイアナ?と思いましたが、見事に完成させてきたなと思いました。

本役はせーこさん(純矢ちとせ)。

せーこさんのダイアナは、迫力満点で怖い感じでした。

峰里ちゃんは、せーこさんのダイアナの真似をするのではなく、自分の解釈で役作りしたのでしょう。

低めのドスの効いた声を使っていたので、べガスの女王という貫禄はありましたが、せーこさんのダイアナよりも可愛らしかったかな。

方法としては、せーこさんのダイアナに寄せるというものもあったと思います。でもそれだと、無理している感があって痛々しく見えたかもしれませんね。とてもうまく行けば、これまでの峰里ちゃんの枠を超えた、面白いものになって話題をかっさらったかもしれませんが。

新人公演なので、結果は度外視して冒険しても良かったかもしれないと思いますが、峰里ちゃんが出してきたダイアナも完成度は高かったと思います。

難しい役だったでしょうけれど、見ていて苦しくなかったというか、いたたまれなくなることがなかったし、観劇中は本役と比較することなく役そのものとして見ることができたので。

私が何よりホッとしたのは、ベネディクトの一番の愛人として説得力のある可愛さだったことでしょうか笑。

本公演は、せーこさんには申し訳ないのですが、迫力がありすぎて、「本当にベネディクト、ダイアナのことを女性として愛していたのか?一番の愛人だったのか?」という点が疑問だったんですよね😅

 

 

他にも3ジュエルズの歌のうまさにも驚きましたし、テーラー役の琥南まこと君に目を奪われたし、新人公演っておもしろーい!!と、かなり楽しみました💖

 

また機会があれば、観劇したいです。

 

 

ではでは、長くなりましたが、この辺で🍀