月組「エリザベート」〜月組の芝居力〜

こんばんは。あさがおです。

 

先日、月組エリザベート、宝塚大劇場での千秋楽が無事に終わったようですね。

おめでとうございます👏

この公演は、組長の憧花ゆりのさんと愛希れいかさんの退団公演でもありました。

私は幸運にも大劇場で1回観劇でき、ちゃぴに(勝手に)別れを告げることができました😭

 

この公演、すでにあちこちでいろんな方が仰っていることとは思いますが、月組の芝居力が光る✨公演だったと思います。

エリザベートは、舞台や映像でいろんな組のものを見てきましたが、今回の月組公演がもっともストーリー性があった気がします。

 

ストーリー性なんか、どの組でもあるでしょって感じですが、もともとシシィの生涯を描いた作品であるにもかかわらず、男役トップスターが演じるトートを主人公にせざるを得ないばかりに、作品本来が持つストーリーや意味というものが薄くなっていたのではないかと思いました。

月組公演を見て、それに気づいたと言うか・・・。

 

 

例えば、フランツは「シシィの夫」で「トートの恋のライバル」的立場だから「2番手さんがやる役」としか思っておらず、「シシィが愛した男性」として見ていませんでした。

今回、美弥るりかさん演じるフランツとシシィは、急速に恋に落ち、周囲に反対されながらも結婚して、愛し合っていたという関係性が見えて、フランツがシシィにネックレスをつけてあげるシーンなんて、ドキドキしました💖

美弥さんのルックスがとびきり美しかったこともあり、劇中で「ハンサムな皇帝」と表現されていることを初めて意識しましたし、こんなに若くて美しい、しかも皇帝に愛されて、そりゃシシィだって好きになるよね!と納得しました。

これまでは、なんとなく、皇帝に求婚されたら断れないわな的な見方をしていたのかもしれない(これまでの方も美しかったんですが。)。

フランツとゾフィーの関係性も、これまでは、2人の関係性から

   ずっとママの言うとおりにしてきて間違いなかったから・・・

というフランツの弱々しい側面(マザコンぷり)を見ていただけでしたが、美弥フランツはもっと大人で、ちゃんと親離れしているけれども母親を立てているだけという雰囲気もあり。なんというか、シシィの気持ちもちゃんと理解してくれてそうというか、ちゃんと大人の男の包容力や色香がありました!

 

これは、憧花ゆりのさんの役作りも影響しているのかもしれませんね。

 

ゾフィーがただの怖い人ではなく、フランツのこともオーストリアのことも大事に思っている、シシィに対しても単に意地悪をしているわけではない・・・と感じられたからこそ、フランツも「ママの意見が正しいでしょ」っていうマザコン皇帝に見えなかったのかも。

ま、単に私が美弥ちゃんが好きだというだけかもしれませんが、あの表現力があるからこそ好きなのであり。

配役を聞いたときはトートやルキーニが似合うのになあと思っていたのが、観劇後は「フランツで大正解だったなあ」と思わされたのも、嬉しかったですね。

途中、休演もありましたが、無事復帰されて良かった。

 

 

フランツ以外でも、晴音アキさんのリヒテンシュタインも、シシィを思いやる気持ちがにじみ出ていて、2人の絆が意外と強いのかもしれないと感じました。同期ならではの空気感なのかもしれない。

また、ヴィンディッシュ嬢の海乃美月ちゃん。とても良かった。出演シーンは短いものの、インパクトありましたね。

 目が、本当に、何も見ていない。(名言ぽい)

それでも、シシィに抱擁されたとき、彼女にシシィの温もりや孤独感が伝わっているのが、2階席まで伝わってきました。

そして、海ちゃんの頬に流れる一筋の涙・・・。

何も見ていないはずなのに、最も大事な部分で通じ合った、彼女に涙を拭ってもらった瞬間はシシィも癒しを得られたのではないか、そんな気がしました。

扇を交換した瞬間、彼女の目はまた何も捉えなくなったけれど。

色々感じさせるシーンでしたね。

海ちゃんにこんな演技をさせたのは、やはりちゃぴの力もあるのかもしれない。

 

良い演技というのはもちろんその人自身の役作りや努力、センスによる部分もあるのでしょうが、芝居は一人でしているのではなく、全ての演者が影響を及ぼしあっているものだと思うので、他の人の演技がそれを引き出している面も大きいと思います。

そういう意味で、月組は、それぞれの組子が良い演技をして影響を及ぼし合い、エリザベートという作品を、これまでとはまた違った深みのあるものに作り上げたのかな。

これまでは、それぞれの役を記号的にしか見ていなかったけど、ちゃんと一人一人に人格と温度があるんだと感じられた。

密度の濃い、完成度の高いエリザだったな〜と感じました。

そんな公演を観られた時は、幸せになりますね。

 

ただ贅沢を言うと、ちゃぴの退団公演は、ちゃぴのために書き下ろした新しい作品が良かった。

ちゃぴのシシィ、とっても良かったんですが、「予想していたとおり完璧」って感じだったんですよね。

予想していたから、とっても良かったけど驚かなかったし、あー、もっと他のちゃぴも観たかったなと思ってしまいました。

でも、それはこれからのお楽しみってことですかね☺️

 

なんにせよ、お疲れ様でした。

 

ちなみに、他組と比較する表現が多くなりましたが、私はこれまでのエリザも大好きです。その時代その時代で、前作を踏まえて、その時のその組でしか作れない新たなエリザを作り上げていると思いますし、客側の私たちも成長しているのでしょう。

今度上演されるときには、また違ったものになるんでしょうね。それも楽しみです。

 

長くなったので、今日はこの辺で。

他の役についても、また書くかもしれません。

ではでは。