星組「霧深きエルベのほとり」 泣けたけれども・・・
こんばんは、あさがおです。
先日、「霧深きエルベのほとり」観ました。
泣きました😭
もう、脚本が圧倒的に良いんでしょうね。
もちろん、ウエクミ先生の演出のおかげもあるとは思いますが。
と、いきなり脚本や演出を褒めたのは、やはり、紅ゆずるさんの演技自体は「う〜ん。」と思ったからです😓
ただ、役作り?は深いかもしれないなぁと思いました。
ウエクミは千秋楽でもダメ出しするとの噂で、今回も台詞の言い方などがどんどん変わってきているそうなので、私が観た回とこれからの舞台はもしかしたら全く別物になっているかもしれません。
私が観た回は、紅さんがやたら舌を巻いてガラ悪そうに喋っていて。
船乗りの粗野な感じを出そうとしているのは分かりますし、紅さんにしては大してアドリブも入れずにただただ脚本通りに芝居をしているようだったので
紅さん、頑張ってるなあ
とは思いました(上から😅)。
それに、カールという役、多分めちゃくちゃ難しいだろうなとも。
なので、本当に十分頑張っていると、プラスに評価したい気持ちもあります(別に紅さん、嫌いじゃないし。)。
でも、観客として、正直な感想は
取ってつけたような演技が気になって、カールという人間に魅力を感じない(途中
まで)
というものでした。
あと、一体いつマルギットのことをそんなに愛するようになったんだろう。
マルギットに惚れてる、愛していると連呼しているけど、あまりそういう風に見えない。
マルギットも、カールのことを愛しているように見えない(この点は、父への当て付けで本当には愛していないということなのか?などとも思いましたが)。
まあ、これまでも紅さんとあーちゃんは、女同士として仲良さそうだけど役としてラブラブ感を感じることはあまりなかったので、今回もいつも通りというだけなのかもしれません。
また、一本物ではないので、脚本自体が2人が惹かれあって愛し合う経過を丁寧に描いているわけではないということも大きな原因かも。
若い男女が出会ってすぐに強烈に惹かれあって激しく愛し合う、という話は多いので、それ自体に抵抗は全くないです。
でも、今回の公演ではその辺に説得力がなかったかなあと思います。
もっと言うと、フロリアンがマルギットのこと愛しているのもあまり感じなかったんだけど・・・。
なんでかなあ。
フロリアンがなんか寒々しいんですよね。
いや、個々のシーンを思い出せば、優しさや愛情の現れと思われる言動はあるんだけど。
そして礼さんの「いいかい、よくお聞き」「おうちにお帰り」は好きな台詞ベスト10に入る勢いですが。
あーちゃんが淡白なのか?
男役と並んだ時に、男役がすっごくカッコ良く見えたり、なんかホント、2人の間のトキメキが目に見える〜💓ってタイプの娘役と、そうでもない娘役とがいますが、あーちゃんは後者なのかな?
北翔さんトップ時代からしか知らないし、少なくともトップ娘役になってからはあまり相手役さんとラブラブ感を感じたことがなかったので分かりませんが。
あるいは、この作品自体がもうそういうものなのかしら。
作品自体は、人の優しさや愛情の形を描いているものかなと頭では理解しているのですが、なんだろう、なんか、腑に落ちない。
私の気持ちがついて行っていなかったのかなあ。
そういう意味で、入り込めていなかったのかもしれませんね。
ただ、冒頭にも書いたように、泣いたんです。
号泣とかではないですけど、久々に、胸の奥からぐーっと悲しさがこみ上げてくる涙でした。
何が悲しかったかというと、まず、銀橋でのアンゼリカとカールのシーン。
2人が昔恋仲で、アンゼリカがカールを捨てて金持ちと結婚したっぽいというのは、それまでの場面でほのめかされていたのですが
銀橋でカールが、アンゼリカの家が貧乏だったから、自分と別れて金持ちと結婚するしかなかったんだろって言うんです。
なんかもう、どうしようもないなと思って、泣けました。
カールは船乗りだもの。
お金持ちじゃないし、生活は不安定だし。
船を降りたとしても、貴族になれるわけではない。
生まれとか身分とか、職業とか貧富の差とか、自分の力で自由に変えられないものに立ち塞がられては、どうしようもないよ。
でも、それがカールなんですよね。
船乗りなのが、貴族じゃなくて貧乏なのが、粗野で乱暴でマナーなんか身につけていないのがカールなんです。
海に出て、陸に上がったら仲間とビールを飲んで、出会った女性と恋をして、その時には身分のことなんか考えてなくて、純粋に相手が好きで一緒にいて幸せになりたくて・・・
アンゼリカに対しても、責めることはしないんです。
仕方ないよね、分かってるよって受け入れて、許してる。
そう、カールは全部受け入れているんだなあ。
どうしようもないことも、悲しみも受け入れて、自分の気持ちに正直にまっすぐに生きてきた。
そういうカールの生き様が見えて、不憫で、泣けました。
このシーン、台詞がそんなに多いわけじゃないけど。
でも、マルギットの元を去った直後にこのシーンが入っていることによって、すごく活きてる、色んなことを伝えようとしているシーンだと思いました。
カールは過去にも貧乏に負けて、今また負けようとしているという単純な状況の対比もあります。
また、カールがアンゼリカを許しているということで、本当に心からアンゼリカを愛していたんだなと伝わってきて、今、マルギットのことも心から愛していて、だからこそ彼女の元を去るし、そのことで彼女を恨んでもいないんだと
アンゼリカとの恋の終わりを想像することで、今のカールの心情が見えてくるなと思いました。
過去が、現在を鏡のように映している・・・うーん、名場面です✨
もう一つは、最後の「マルギット、幸せになれよ」と何度も叫ぶシーン。
ここは、もう涙を堪えられませんでしたね。
というか、思い出しても泣けます。
1度目はいいんです。ああ、カール、良い奴だな、まあでも良くあるシーンだよねと思うくらい。
2度、3度と叫ぶことでね。
彼女と別れることがどれだけ辛かったか
自分が幸せにしてやれたらどんなにいいか
悲しくて
理不尽で
どうにかしたいけど自分の力ではどうすることもできない
彼女から離れることしかできない
せめて、彼女に幸せになってほしい・・・
そんな歯がゆさや苦しさが私の胸の中にもブワ〜っと押し寄せてきて、喉の奥が痛くなりました。
もちろん、脚本が素晴らしいというのもありますが、このシーンでここまで持ってくるということは、紅さんが、冒頭からカールを積み上げてきているからだろうとは思いました。
多分紅さんの中にはカールがいるんだと思う。
ただ、それを演技で表現するには、紅さん自身が表に出てきすぎなのではないか。
紅さんを、どんな役も自分のものにする、芝居心のある人だと褒める方もしますが、私には、役を自分のものにしているというより、どんな役をやっても紅さん自身だという風に見えます。
クライマックスがとっても良かっただけに、勿体無い。
やっぱ、巻き舌で手っ取り早く乱暴者になろうとするのが良くないと思うんだよなあ・・・。
こんなことを考えながら、今日も夜が更けていきます・・・。
本筋ではないですが、かいちゃんの石投げのシーンも秀逸でしたね。
石が水に当たる音だけで、人の心情を表現することができるなんて!
しかも、それを観客が理解して笑いが起きるというのが、なんだか舞台上と客席が一つになった気がして心地よかった。
因みに、かいちゃんの最後のセリフは「あばよ!」でした。
最後に素敵なお役で見ることができて、良かった。
新人公演も映像で少し見ましたが、極美慎くん、めっちゃ頑張ってましたね。
カールって、とっても難しい役だと思いますが、ちゃんと作り上げててすごいなと思いました(と言っても数分のダイジェストを見ただけですが・・・)。
めちゃくちゃイケメンでしたし😅
若いヤンキーみたいで可愛かったです。
お歌はまだまだのようですが、堂々と歌ってて良いなと思いましたし、もともと音痴ではなく、歌声が素直なので、男役の発声ができてくればもっと良くなるだろうなと期待しています(母目線)。
良質な筋肉もあるでしょうから、声帯もきっと良いはず!!
慎くんは素敵になってきたな〜と見るたびに思いますね☺️
お腹と声帯の筋肉を鍛えてください!!
なんだかんだ、霧深きエルベのほとりはやっぱり名作だなあ〜と思いました。
また観たいな😌
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
ではでは。